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2009年5月17日 (日)

新型インフルエンザ対策

(厚生省のHPより転用)

新型インフルエンザの基礎知識

○ 新型インフルエンザウイルスとは、動物、特に鳥類のインフルエンザウイルスが、人の体内で増えることができるように変化し、人から人へと容易に感染できるよう
になったもので、このウイルスが感染して起こる疾患が新型インフルエンザである。

○ 新型インフルエンザは、いつ出現するのか予測することはできない。人類にとっては未知のウイルスであって、免疫を獲得していないので、これは容易に人から人
へ感染して拡がり、急速な世界的大流行(パンデミック)を起こす危険性がある。

○ このような例の一つとしてスペイン・インフルエンザ(1918年-1919年)がある。
世界では人口の25~30%が罹患し、4,000万人が死亡したと推計されており、日本では2,300万人が感染し、39万人が死亡したと記録されている。その記録から、大
流行が起こると多くの人が感染し、医療機関は多数の患者で混乱し、国民生活や社会機能の維持に必要な人材の確保が困難になるなど、様々な問題が生じることが予
想される。

○ スペイン・インフルエンザでは、約11か月で世界中にまん延したと伝えられているが、現代社会では、人口の増加や都市への人口集中、飛行機等の高速大量交通
機関の発達などから、世界のどこで発生しても、より短期間にまん延すると考えられる。

○ 我が国では、新型インフルエンザウイルスの国内侵入防止のため水際対策を講ずることとしているが、多数の邦人が海外で活動しており、国内外の人的交流も盛ん
なため、ウイルスの侵入を完全に防ぐことはできず、我が国だけが影響を受けないということはありえない。
国においては、新型インフルエンザの発生は国家の危機管理の問題ととらえ、対策の準備を進めているが、個人、家庭及び地域においても、
感染拡大の防止と発生時の冷静な対応を行うため、事前の対策と準備が必要となる。

○ 新型インフルエンザは、人が感染者に近距離で接触することによって拡がるため、国民一人一人が感染拡大防止に関する正しい知識を持ち、協力して、自分たちの家
庭や地域を守る心構えが肝要である。

○ 国及び地方自治体は、国の行動計画における新型インフルエンザの発生段階に応じ、その状況や国民一人一人に求められる行動について広報を行うこととしている。
これらを入手するためには、テレビ、新聞等のマスメディアやインターネットによる情報収集が有力な手段であるが、居住地域の状況については、地方自治体が提供
する情報が最も詳細なものである。主な公的情報源は、次のとおりである。

1)情報収集

○ 新型インフルエンザは、いつ出現するのか予測できず、また、起こったときの正確な状況も予測できない。
重大な被害を受けることも想定し、できる限りの準備をしておくことが大切であり、日頃から新型インフルエンザに関する情報に注意する
ことが必要である。

○ 新型インフルエンザやその感染防止策に対する正しい知識を持つため、テレビ新聞等のマスメディアやインターネットにより情報収集を行うとともに、居住地域
の状況については、地方自治体の提供する情報の収集に努める。

2)通常のインフルエンザ対策

○ 新型インフルエンザ対策は、通常のインフルエンザ対策の延長線上にあり、 通常のインフルエンザの対応から取組を始めることが重要である。

○ 通常のインフルエンザの主な感染経路は、飛沫感染と接触感染である。

・飛沫感染:感染した人の咳、くしゃみ、つばなどの飛沫とともに放出されたウイルスを健康な人が吸入することによって感染する。

・接触感染:感染した人がくしゃみや咳を手で抑えた後や、鼻水を手でぬぐった後に、机やドアノブ、スイッチなどに触れると、その触れた場所にウ
イルスが付着することがある。その付着したウイルスに健康な人が手で触れ、その手で目や鼻、口に再び触れることにより、粘膜・結膜な
どを通じてウイルスが体の中に入り感染する。

○ このため、新型インフルエンザの予防には、通常のインフルエンザに対する下記のような取組を習慣づけておくことが重要であり、国民一人一人がいわゆる「咳エ
チケット」を心がけることが求められる。

・咳、くしゃみの際は、ティッシュ等で口と鼻を被い、他の人から顔をそらすこと

・使ったティッシュは、直ちにゴミ箱に捨てること

・咳やくしゃみ等の症状のある人には必ずマスクを着けてもらうこと(個人が使用するマスクで最適なのは、不織布製マスク1である。なお、N95マスク2は、
一般の生活の中で個人が使用するマスクとしては適していな3。)

・咳やくしゃみをおさえた手、鼻をかんだ手は直ちに洗うこと

○ また、国民は、「咳エチケット」以外にも、次の点について心がけることが求められる。

・帰宅後や不特定多数の者が触るようなものに触れた後の手洗い・うがい を日常的に行うこと

・手洗いは、石鹸を用いて最低15秒以上行うことが望ましく、洗った後は、清潔な布やペーパータオル等で水を十分に拭き取ること

・感染者の2メートル以内に近づかないようにすること

・流行地への渡航、人混みや繁華街への不要不急な外出を控えること

・十分に休養をとり、体力や抵抗力を高め、日頃からバランスよく栄養をとり、規則的な生活をし、感染しにくい状態を保つこと

「咳エチケット」

風邪などで咳やくしゃみが出る時に、他人に感染させないためのエチケットである。
感染者がウイルスを含んだ飛沫を発することにより周囲の人に感染させないように、咳エチケットを徹底することが重要である。

<方法>

咳やくしゃみの際は、ティッシュなどで口と鼻を被い、他の人から顔をそむけ、できる限り1~2メートル以上離れる。
ティッシュなどがない場合は、口を前腕部(袖口)でおさえて極力、飛沫が拡散しないようにする。
前腕部で押さえるのは、他の場所に触れることが少ないため、接触感染の機会を低減することができるからである。

呼吸器系分泌物(鼻汁・痰など)を含んだティッシュは、すぐにゴミ箱に捨てる。

咳やくしゃみをする際に押さえた手や腕は、その後直ちに洗うべきであるが、接触感染の原因にならないよう、手を洗う前に不必要に周囲に触れないよう注
意する。手を洗う場所がないことに備えて、携行できる速乾性擦式消毒用アルコール製剤あるいはパック入りのアルコール綿を用意しておくことが推奨され
る。

咳をしている人にマスクの着用を積極的に促す。マスクを適切に着用することによって、飛沫の拡散を防ぐことができる。

2)感染拡大の防止

○ 発症した人がマスクをすることによって他の人に感染させないという効果は認められており、自分が発症した場合にはマスクを着用することが必要である。他方、
まだ感染していない者がマスクをすることによってウイルスの吸い込みを完全に防ぐという明確な科学的根拠はないため、マスクを着用することのみによる防御を
過信せず、お互いに距離をとるなど他の感染防止策も講ずる必要がある。

○ 食料品・生活必需品等の買出しや重要業務を継続するためなどのやむを得ない出勤等の場合を除き、感染を回避するため、不要不急の外出は自粛するとともに、や
むを得ない外出の際にも、混雑した公共交通機関の利用を避けるなどの工夫が必要である。

3)本人、家族等が発症した場合の対応

ア 発生早期の段階

・ 感染した可能性のある者は、極力、他の人に接触しないよう以下の対応を行うことが必要である。

*発熱・咳・全身痛などの症状がある場合、事前連絡なく医療機関を受診すると、万が一、新型インフルエンザに感染していた場合、待合室等で他の
疾患の患者に感染させてしまう「二次感染」のおそれがある。
その場合はまず、保健所等に設置される発熱相談センターに電話等で問い合わせをし、その指示に従って指定された医療機関で受診する。

*発熱相談センターから指定された医療機関を受診するときは、必ず当該医療機関に電話で事前に連絡し、受診する時刻及び入口等について問い合わ
せる。この連絡を受けて、医療機関は、院内感染を防止するための準備をすることになる。

*医療機関を受診するときは、マスクを着用する。マスクがない場合は、咳エチケットを心がけ、周囲に感染させないように配慮する。また、受診に
際しては、公共交通機関の利用を避けて、できる限り家族の運転する自家用車などを利用する。適切な交通手段がない場合は、発熱相談センターに
問い合わせる。

・ 感染していることが確認された場合、入院して治療を受けること、また感染している可能性が高い同居者等やその濃厚接触者は、外出自粛を要請さ
れ、保健所へ健康状態を報告することが、法律により定められている。
また、
状況に応じて抗インフルエンザウイルス薬(タミフル等)が配付されることがあるので、保健所からの説明をよく聞く必要がある。

イ 感染が拡大した段階

・ 各地域における新型インフルエンザの流行状況によるが、第三段階のまん延期には軽症者は原則として自宅で療養する。
これは、多数の医療機関の外来診療は著しい混雑となり、また、病床が不足する状況において、重症者の治療を優先することが必要となるためである。

・ インフルエンザ様の症状があり、受診を希望する場合、都道府県等が設置する発熱外来を受診する。
この発熱外来は、他の患者との接触を極力避けることを目的とした医療機関である。都道府県や市区町村、保健所から設置に
関わる情報が提供されるので、随時情報収集することが必要である。

・ 受診すべきかどうかの判断がつかない場合、また、発熱外来がどこに設置されているか分からない場合は、発熱相談センター等に問い合わせる。

○ 発熱外来を受診するときは、マスクを着用する。マスクがない場合は、咳エチケットを心がけ、周囲に感染させないように配慮する。また、受診に際しては、
公共交通機関の利用を避けて、できる限り家族の運転する自家用車などを利用する。適切な交通手段がない場合は、発熱相談センター等に問い合わせる。

4)患者を看護・介護する家族の対応

○ 新型インフルエンザの患者は、極力個室で静養し、家族の居室と別にするとともに、マスクを着用し、咳エチケットなどを心がける。また、患者の家族は、患者か
らの二次感染を防ぐよう、手洗い・うがい等を励行し、マスクを着用する。

○ 流水と石鹸による手洗い又はアルコール製剤による手指消毒が感染防止策の基本であり、患者の看護や介護を行ったあとは、必ず手指消毒をするように心がける。
患者の使用した食器類や衣類は、通常の洗剤による洗浄及び乾燥で消毒することが
できる。

5)医療の確保への協力

○ 第三段階のまん延期には一時的に多数の患者が医療機関を受診するため、医療従事者や医薬品・医療資器材の不足等、医療を支える体制が極端に脆弱になることも
予想される。

○ また、まん延期であっても、生命に関わる救急の患者や人工透析などの継続的な治療が必要な患者もいる。

○ したがって、不要不急の医療機関受診や軽症での救急車両の利用は控えて、新型インフルエンザの患者や急を要する患者の医療の確保に協力することが重要であ
る。

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